精子提供で生まれた子どもは、法律上どのように扱われるのか──特に「相続権」について疑問を持つ方は少なくありません。夫婦で精子提供を受けて生まれた子は、夫(法律上の父)の財産を相続できるのか、実の精子提供者(ドナー)との関係は法的にどうなるのか。本記事では、2020年12月に成立した生殖補助医療の民法特例法の内容を踏まえ、精子提供と相続権の関係を整理します。
民法特例法が整理した「法律上の親」の考え方
2020年12月4日に成立し、同月11日に公布された「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」(令和2年法律第76号)は、精子提供・卵子提供で生まれた子の親子関係を明確にする重要な法律です。親子関係に関する条項は2021年12月11日以降に出生した子に適用されます。
この法律の主なポイントは2つあります。1つは、卵子提供を受けて出産した女性が母になる、という母子関係の整理。もう1つが、夫の同意を得て夫以外の男性の精子を用いた生殖補助医療により妻が懐胎した子について、夫は民法774条の規定にかかわらず嫡出否認ができない、という父子関係の確定です。
精子提供で生まれた子と相続権の関係
民法特例法により、夫婦が夫の同意のもとで精子提供を受けて生まれた子は、法律上「夫の嫡出子」として扱われます。つまり夫との間に法律上の親子関係が成立し、相続においても実の子と同じ立場となります。夫が亡くなった場合、この子は他の子どもたちと同等の相続権を持ちます。
一方で、精子提供者(ドナー)との間には、法律上の親子関係は発生しません。したがって、ドナー側からの扶養義務や認知の問題、逆にドナー側の財産に対する子どもの相続権も、原則として発生しない整理です。
特例法の対象範囲と注意点
特例法は「生殖補助医療」(人工授精または体外受精・体外受精胚移植)を用いて生まれた子に適用されます。ここで注意したいのは、対象となるのは夫の同意を得て行われた生殖補助医療であることです。同意の有無は、後の紛争予防のためにも書面で残しておくことが実務上推奨されます。
また、未婚の方・事実婚の方・同性カップルの方が精子提供を受けた場合の親子関係については、特例法の直接的な対象としては整理されていません。この領域は解釈・個別判断に委ねられる部分が多く、今後の法改正を待つ課題として残されています。
契約書とカウンセリングで備える
法的には「ドナーと子の間に親子関係は発生しない」と整理されていても、トラブル予防のためには、ドナーとの間で精子提供契約書を取り交わしておくことが非常に大切です。契約書には、ドナーが親権や扶養義務を主張しない旨、子の出自に関する情報開示の方針などを明記することが一般的です。
また、夫婦間でも精子提供についての同意書を作成しておくと、後の紛争を防ぐ備えになります。ロジカル精子バンクでは、ご利用者さまとドナーとの契約書締結を標準としており、法的リスクの最小化に取り組んでいます。詳しくは精子提供までの流れをご確認ください。
個別の法的ご相談は弁護士へ
相続・親子関係には個別事情が大きく影響するため、具体的な判断が必要な場合は弁護士や家事専門家へのご相談をおすすめします。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別案件の法的判断を保証するものではありません。
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