精子提供を受けることを検討する際、「子どもが将来、自分のルーツを知りたいと思ったらどうするか」という問題は避けて通れません。海外には、この「出自を知る権利」に関する法整備を行った国や地域があります。
本記事では、出自を知る権利とは何か、海外ではどのような動きがあるのか、そして日本の現状と課題について整理します。
「出自を知る権利」とは何か
出自を知る権利とは、精子提供や卵子提供など第三者の生殖細胞を用いて生まれた子どもが、自分の遺伝的な親(ドナー)に関する情報を知ることができる権利のことです。
国連の「児童の権利に関する条約」(子どもの権利条約)第7条には、児童は「できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有する」と定められており、出自を知る権利をめぐる議論で取り上げられることがあります。
子どもにとって「自分がどこから来たのか」を知ることは、アイデンティティの形成に深く関わる問題です。思春期や成人後に「遺伝的な親は誰なのか」という疑問を抱くことは自然なことであり、その答えにアクセスできるかどうかは、子どもの心の安定にも関わる問題として議論されています。
海外ではどこまで進んでいるのか
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匿名提供を廃止した国
イギリスでは2005年以降、匿名での精子・卵子提供が法律で禁止されました。提供で生まれた子どもは18歳になるとドナーの氏名、生年月日、最後に確認された住所を開示請求できます。スウェーデンでは1985年に、提供で生まれた子がドナーの情報を知ることができる法律が設けられました。このほかにも、ドナー情報の開示に関する制度を設けている国や地域があります。
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ドナー登録制度を整備した国
オーストラリアのビクトリア州では、過去の匿名提供も含めてドナー情報を一元管理するレジストリ(登録制度)を設置しています。提供で生まれた人や親だけでなく、ドナー側からも生まれた子どもに関する情報を申請できる仕組みです(身元情報の開示には相手側の同意が必要な場合があります)。
こうした制度の背景には、子どもが自分の出自を知ることを重視する考え方があります。
日本の現状と課題
日本では2021年に「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」が施行されましたが、この法律が定めたのは主に親子関係の法的な整理(他人の卵子を用いて出産した女性を母とすること、夫の同意を得て提供精子を用いた生殖補助医療により妻が懐胎した子について、夫・子・妻が嫡出であることを否認できないこと)で、提供者や生まれた子に関する情報の保存・管理・開示等に関する制度の在り方は、附則で検討課題とされています。2025年2月には特定生殖補助医療に関する法律案が参議院に提出されましたが成立には至らず、2026年10月時点で出自を知る権利に関する法制化は実現していません。
つまり、現時点の日本では、精子提供で生まれた子どもがドナーの情報を知る法的な仕組みが存在しません。医療機関でのAIDでは、日本産科婦人科学会の見解で精子提供者は匿名とされています。
この状況は、精子提供を受ける側にとっても、将来の子どもにとっても、大きな不安要素です。法整備が追いつくのを待つ間に、個人レベルでできる「将来に備えた情報の確保」が重要になります。
ロジカル精子バンクの対応
ロジカル精子バンクでは、ドナーについて公的書類による本人確認を行い、職業・学歴・資格の証明も確認しています。確認した情報は記録として残ります。
法的な開示制度が整備されていない現在の日本において、匿名でやり取りする個人間の提供や、情報がほぼ開示されない医療機関のAIDと比べ、お子さまに伝えられる情報を残しやすくなります。どの情報をどこまで残せるかは、お申し込み前にお尋ねください。
お子さまの未来を見据えた精子提供をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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