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産後ケア事業とは|出産後に頼れる人が少ないときに使える市区町村の支援

産後ケア事業とは|出産後に頼れる人が少ないときに使える市区町村の支援

出産したあと、赤ちゃんのお世話をしながら自分の体を休めるには、まわりの手助けが欠かせません。けれども、シングルで出産する方、実家が遠い方、精子提供のことを親に打ち明けていないため里帰りを選びにくい方など、「産後に頼れる人が少ない」と感じている方もいるのではないでしょうか。この記事では、こども家庭庁の資料と母子保健法の条文をもとに、市区町村が行う「産後ケア事業」とはどんな支援か、誰が使えるのか、どう申し込むのかを整理します。

産後ケア事業とは

産後ケア事業とは、出産後1年以内のお母さんと赤ちゃんを対象に、市区町村が心身のケアや育児のサポートを行う事業です。こども家庭庁の「健やか親子21」のサイトでは、次のように説明されています。

「出産後1年以内のママと赤ちゃんを対象に、産後も安心して子育てができるよう、心身のケアや育児のサポート等を行う事業です。」

根拠となる法律は母子保健法です。第17条の2で、市町村は、産後ケアを必要とする「出産後一年を経過しない女子及び乳児」について、産後ケア事業を「行うよう努めなければならない」と定められています。こども家庭庁の「産後ケア事業ガイドライン」(令和8年3月)によると、この努力義務は母子保健法の改正により令和3年度から始まりました。さらに令和7年4月からは、子ども・子育て支援法にもとづく「地域子ども・子育て支援事業」にも位置づけられています。

努力義務のため、実施しているかどうか、どの種類のサービスがあるか、何回まで使えるかは市区町村によって異なります。まずはお住まいの市区町村で確認することが出発点になります。

受けられる支援の中身と3つの利用のしかた

母子保健法とガイドラインでは、産後ケアの中身を、お母さんと赤ちゃんの心身の状態に応じた保健指導、療養に伴う世話、育児に関する指導、相談などとしています。担当するのは、助産師・保健師・看護師などの専門職です。

利用のしかたは、次の3つの型に分かれています(母子保健法第17条の2第1項各号・ガイドラインの「事業の種類」)。

  • 短期入所(ショートステイ)型:病院・診療所・助産所などに泊まってケアを受ける。ガイドラインでは利用期間は原則7日以内で、分割して利用してもよく、市町村が必要と認めた場合は延長できるとされています
  • 通所(デイサービス)型:日中に施設へ通ってケアを受ける。個別の形と、ほかの利用者と一緒の形があります
  • 居宅訪問(アウトリーチ)型:専門職が自宅を訪問してケアを行う

ガイドラインでは、短期入所型について、市町村の判断で父親・パートナーやきょうだいなど家族の同伴を認めることができるとされています。パートナーと一緒に利用したい場合も、市区町村に確認してみてください。

対象になるのは誰か

ガイドラインでは、対象を「出産後1年以内の女子であって、産後ケアを必要とする者」とし、初めての出産か2人目以降かは問わないとしています。サービス内容の説明を受けたうえで利用を希望する場合に、「産後ケアを必要とする者」として支援の対象とする、という考え方が示されています。

そのほか、ガイドラインには次のような人への対応も書かれています。

  • 里帰り出産をしている方:里帰り先の市町村でも、対象者として対応することが望ましいとされています(住民票のある市町村と滞在先の市町村が協議・連携)
  • 流産や死産などを経験した方:産後ケア事業の対象に含まれます。赤ちゃんと同じ場でのケアがつらく感じられることにも配慮し、訪問型を活用するなどの対応が求められています
  • 父親・パートナー:基本の対象は母子ですが、父親・パートナーへの支援を行うことも考えられるとされています

一方で、ガイドラインでは次のような場合は対象から除かれるとされています。

  • お母さんか赤ちゃんが感染症(麻しん、風しん、インフルエンザ等)にかかっている
  • お母さんに入院による治療が必要
  • 心身の不調や病気があり、医療的な対応が必要(ただし、医師が産後ケア事業で対応できると判断した場合は除かれない)

また、赤ちゃんについては「自宅において養育が可能である者」が対象とされています。医療的ケアが必要な赤ちゃんなど配慮が必要な場合も、訪問型を活用するなど柔軟に対応することとされています。通院中の方や体調に不安がある方は、主治医にも相談したうえで申し込むと安心です。

申し込み方と費用

ガイドラインでは、本人または家族が市町村に利用を申し込み、市町村が実施場所と日時を調整する流れが示されています。予約や日時の調整は、本人や家族が事業者と直接行う形でもよいとされています。申し込みは電話やオンラインで受け付けるなど、負担にならないよう配慮することも求められています。

ガイドラインでは、妊娠の届出のときや出産後の面談などの機会に産後ケア事業を案内すること、外出が難しい家庭については新生児訪問などで自宅を訪れた際に申請を受け付けるなど柔軟に対応することが示されています。出産前のうちに、窓口(母子保健の担当課やこども家庭センターなど)で申請の方法を聞いておくと、産後に慌てずにすみます。

費用は、ガイドラインで「利用者からサービスに係る利用料を徴収することができる」とされており、金額は市区町村によって異なります。あわせて、すべての利用者を対象に、世帯の所得の状況(住民税非課税かどうか等)に応じた利用料の減免措置を講じるよう努めることとされています(努力義務のため、減免の有無や内容は市区町村によって異なります)。自己負担額や減免の条件は、お住まいの市区町村で確認してください(2026年9月時点の情報です)。

精子提供で出産する方にとっての産後ケア

精子提供で子どもを迎える方の中には、家族に事情を話していないため実家を頼りにくい方や、シングルで出産・育児をする方もいます。産後ケア事業は、出産後1年以内で産後ケアを必要とするお母さんと赤ちゃんを対象にした公的な支援で、家族の手助けが得にくいときの選択肢のひとつになります。申し込みで何を記入・説明するかが気になる場合は、出産前に窓口で手続きの内容を確認しておくと安心です。

妊娠がわかってから出生届までの流れは精子提供で妊娠したあとの流れ|産科の受診から出生届までの進め方で整理しています。シングルでの出産や育児の備えについては【選択的シングルマザー】「一人で育てる」を現実にするための資金計画と準備や選択的シングルマザーとは?方法・費用・支援制度、同性カップルの方は同性カップルの精子提供|方法・費用・法律上の親子関係もあわせてご覧ください。

産後ケアではなく、すぐに医療機関へ連絡してほしいとき

産後ケア事業は、医療機関での治療の代わりにはなりません。体の状態によっては、産後ケアの利用を待たずに医療機関や救急へ連絡が必要です。

すぐに119番に電話してほしいとき

消防庁のリーフレット「救急車を上手に使いましょう」では、おとなの「突然のこんな症状の時にはすぐ119番!!」として、次のような症状が挙げられています(一部)。

  • 突然の激しい頭痛
  • ろれつがまわりにくく、うまく話せない/突然、片方の腕や足に力が入らなくなる/顔の片方がゆがむ
  • 見える範囲が狭くなる/突然、周りが二重に見える
  • 突然の高熱/支えなしで立てないぐらい急にふらつく
  • 急な息切れ、呼吸困難/胸や背中の突然の激痛
  • 突然の激しい腹痛/冷や汗を伴うような強い吐き気
  • けいれんが止まらない/意識がない、またはもうろうとしている
  • その他、いつもと違う場合、様子がおかしい場合

同じリーフレットでは、119番通報などの判断に迷ったときは救急相談窓口(#7119等)に相談するよう案内しています(実施していない地域もあります)。

出産した医療機関(産婦人科)にすぐ連絡してほしいとき

日本産科婦人科学会の「妊娠高血圧症候群」の解説では、妊娠中に始まった高血圧が「出産後12週までに軽快」するタイプがあることを説明したうえで、次のように呼びかけています。

「とくに、これまで経験したことがないような頭痛や、ろれつが回りにくい、手足が動きにくい、ふだんと違う胃の痛みや吐き気を自覚したら、すぐに産婦人科へ連絡してください。」

これらの症状が突然あらわれたときや、上の119番の症状にあてはまるときは、迷わず119番に電話してください。このほかにも、出血が増えた、熱が出たなど、体の変化で心配なことがあるときは、産後ケアの窓口ではなく、まず出産した医療機関に相談してください(突然の高熱や、支えなしで立てないぐらい急にふらつくときなど、上の119番の症状にあてはまるときは119番へ)。

気持ちがつらいとき

ガイドラインでは、出産後1年を通じてメンタルヘルスケアの重要性が高いことが、対象時期を「出産後1年以内」とした理由のひとつに挙げられています。眠れない、気持ちが落ち込んだまま戻らないといったときは、産後ケアの窓口や出産した医療機関、市区町村の保健師に相談してください。

「消えてしまいたい」と感じるほどつらいときは、すぐに話を聞いてもらってください。厚生労働省の「まもろうよ こころ」で紹介されている窓口の一部です。

  • #いのちSOS:0120-061-338(毎日24時間)
  • よりそいホットライン:0120-279-338(24時間対応)。福島県からおかけになる場合は 0120-279-226、050で始まるIP電話からは 050-3655-0279
  • 電話で話しにくい方:同じページの「SNSで話したい」で、LINEやチャットで相談できる窓口が紹介されています。24時間365日、無料・匿名で相談できるチャット窓口もあります

ほかの窓口や各窓口の受付時間は、厚生労働省ホームページのまもろうよ こころで確認できます。

よくある質問

出産前に申し込んでおけますか。

ガイドラインでは、妊娠の届出のときや妊娠後期、出産後の面談などの機会を活用して、産後ケア事業を周知・案内することが示されています。出産前に申請できるかどうかは市区町村によって異なりますので、妊娠中のうちに窓口で確認しておくと安心です。

赤ちゃんが1歳になるまで、いつでも使えますか。

母子保健法では、市町村の努力義務の対象期間は「出産後一年」を経過しない時期とされています。ただし、実際に利用できる時期や回数は市区町村が定めています。

里帰り先でも利用できますか。

ガイドラインでは、里帰り先の市町村でも対象者として対応することが望ましいとされていますが、実際の対応は市町村間の調整によります。里帰りを予定している場合は、住民票のある市区町村に早めに相談しておくと安心です。

ご相談について

ロジカル精子バンクは医療機関でも公的な相談窓口でもありません。産後の体や心の状態については、出産した医療機関やお住まいの市区町村にご相談ください。この記事は、こども家庭庁の公開資料と母子保健法の条文をもとに整理したものです(出典:こども家庭庁「産前・産後サポート事業ガイドライン 産後ケア事業ガイドライン」令和8年3月、こども家庭庁「健やか親子21」産後ケア事業を利用したい方)。

そのうえで、精子提供という選択肢について知りたい、進め方を整理したいという段階でのご相談をお受けしています。当バンクでは、LINEでの匿名のご相談にも対応しています。ご入会後の進め方はご利用の流れにまとめています。気になることがあればお問い合わせからお気軽にお声がけください。

※ 当バンクは医療機関ではありません。診断・治療・妊娠を保証するものではなく、医学的なご判断は医療機関にご相談ください。

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