精子提供の基礎知識

精子ドナー登録を考えている方へ|求められる条件・検査と法律上の立場

精子ドナー登録に必要な感染症検査のイメージ|ロジカル精子バンク

「精子ドナーになることを考えているが、何を求められるのか分からない」――そうした問い合わせをいただくことがあります。インターネット上には断片的な情報が多く、なかには報酬だけを強調するような書き込みも見られます。

精子提供は、生まれてくる子どもと、その子を育てるご家族の人生に長く関わることです。この記事では、ドナー登録を検討されている方に向けて、一般に求められる条件や検査、そして法律上の立場について、現時点で分かっていることを中立的に整理します。判断の材料としてご覧ください。

まず知っておきたい、精子提供の位置づけ

日本では、第三者の精子を用いた生殖補助医療は長く行われてきましたが、それを直接規律する法律の整備は途上にあります。2020年に成立した「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」でも、定められたのは親子関係の一部にとどまっています。

つまり、ドナーとして関わることの意味を、法律がすべて明確にしてくれている段階ではありません。だからこそ、提供する側も内容を理解したうえで判断することが大切になります。

一般に求められる条件

民間の精子バンクや医療機関では、それぞれの基準でドナーを募集しています。基準は機関によって異なりますが、多くの場合、次のような点が確認されます。

年齢の範囲、健康状態、感染症検査の結果、既往歴や家族の病歴、身元が確認できる公的書類の提示、そして提供の意味を理解したうえでの同意です。匿名で身元を明かさずに提供できる、という仕組みではない点は、あらかじめ知っておいてください。

感染症検査は「一度受ければ終わり」ではありません

提供にあたっては、感染症の検査が求められます。ここで理解しておきたいのが、検査には感染しても陽性と出ない期間があるという点です。検査を受けた時点で陰性であっても、その直前の感染を捉えきれない可能性があります。

そのため、検査は一度きりではなく、期間を空けて繰り返し行う運用が採られることがあります。検査の考え方については安全性・検査体制のページでもご説明しています。

法律上、提供者はどのような立場になるのか

ここが最も誤解の多い部分です。前述の民法特例法は、第9条で「女性が自己以外の女性の卵子(その卵子に由来する胚を含む。)を用いた生殖補助医療により子を懐胎し、出産したときは、その出産をした女性をその子の母とする」と定め、第10条で「妻が、夫の同意を得て、夫以外の男性の精子(その精子に由来する胚を含む。)を用いた生殖補助医療により懐胎した子については、夫、子又は妻は、民法第七百七十四条第一項及び第三項の規定にかかわらず、その子が嫡出であることを否認することができない」と定めています(第10条は2022年の民法改正にあわせて改められ、2024年4月1日から現在の内容になっています)。

一方で、この法律には精子を提供した男性と子との親子関係について定めた規定はありません。したがって、「提供者には法的な責任が一切生じない」と言い切れる状態ではない、というのが現時点の正確な理解です。ネット上で見かける断定的な説明を鵜呑みにせず、不安がある場合は弁護士など専門家にご相談ください。

個人間での提供にはリスクがあります

SNSや掲示板を通じた個人間のやり取りでは、感染症検査の裏付けがない、身元が確認できない、後々の連絡先が分からなくなるといった問題が起こり得ます。これは受け取る側だけでなく、提供する側にとってもリスクです。

また、金銭の授受を伴うやり取りは、トラブルの火種になりやすいものです。個人間提供の具体的な危険についてはコラム・体験談でも取り上げていますので、あわせてご覧ください。

提供したあとのことも考えておく

提供によって子どもが生まれた場合、その子はいつか自分の出自について知りたいと考えるかもしれません。海外では、成人した子が提供者の情報にアクセスできる制度を設けている国もあります。日本でも、出自を知る権利をどう扱うかは議論が続いています。

将来、自分の情報がどこまで開示される可能性があるのか。その点をどう受け止めるかは、登録前に一度考えておきたいところです。

登録を考えるときに確認したいこと

どの機関を通すにしても、次の点は事前に確認しておくことをおすすめします。

どのような検査をいつ受けるのか。契約書は交わされるのか、その内容はどうなっているのか。提供した精子がどのように扱われるのか。提供回数に上限はあるのか。そして、途中で辞退したくなったときにどうすればよいのか。曖昧なまま進めないことが、結果的に自分を守ることにつながります。

迷っている段階でのご相談も承ります

ロジカル精子バンクでは、ドナー登録を検討されている方からのご質問にもお答えしています。登録するかどうかを決めていない段階で、条件や検査の内容だけを聞いていただいてもかまいません。

精子提供は、軽い気持ちで始めるものでも、必要以上に怖がるものでもないと考えています。正確な情報を知ったうえでご判断いただけるよう、分かる範囲で丁寧にご説明します。ご不明な点はお問い合わせからお気軽にお寄せください。

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