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不妊治療・妊活と仕事の両立|通院の目安と職場に相談するときの伝え方

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妊活や不妊治療を続けていて、いちばん重くのしかかるもののひとつが「仕事とどう両立するか」です。通院の予定が前もって決められない、休みが取りづらい、そもそも職場に話すべきかどうか分からない――こうしたお声をよくいただきます。

この記事では、厚生労働省が公表している資料をもとに、通院にかかる日数の目安、職場で使える可能性のある制度、そして「不妊治療連絡カード」という仕組みについて整理します。制度の運用は勤務先によって異なりますので、最終的には就業規則や人事労務のご担当者にご確認ください。

なぜ両立が難しいのか

厚生労働省が事業主・労働者向けに公表しているリーフレット「不妊治療連絡カードをご活用ください!」(厚生労働省・PDF)では、通院日数の目安が次のように示されています。

  • 一般不妊治療……女性は月経周期ごとに2日〜6日(1回1〜2時間程度の通院)。男性は0日〜半日(手術を伴う場合は1日)
  • 生殖補助医療……女性は4日〜10日(1回1〜3時間程度)に加えて1日〜2日(1回半日〜1日程度)。男性は0日〜半日(手術を伴う場合は1日)

同資料では、1回の診療は通常1〜2時間だが待ち時間を含めて数時間かかることがあること、一般不妊治療については排卵周期に合わせた通院が求められるため、前もって治療の予定を決めることが困難な場合があることにも触れられています。日数はあくまで目安で、医師の判断や個人の状況、体調により増減するとされています。

「急に明日来てください」と言われることがある、という治療の性質そのものが、勤務調整を難しくしている面があります。

ひとりで抱えている話ではない

国立社会保障・人口問題研究所の第16回出生動向基本調査(国立社会保障・人口問題研究所/2021年6月実施)では、不妊の検査・治療を受けたことのある夫婦は22.7%(4.4組に1組)で、前回調査の18.2%から増加したと報告されています。決してめずらしいことではありません。

そのうえで、前述の厚生労働省のリーフレットには、不妊治療と仕事との両立ができず16%(男女計。女性は23%)の方が退職していると記載され、両立支援が重要な課題だとされています。

また、不妊の原因は女性だけにあるわけではなく、WHO(世界保健機関)によれば約半数は男性にあるとされる、という点も同資料に明記されています。男性側の通院や検査も、当然ながら勤務時間中に発生します。

職場で使える可能性がある制度

前述のリーフレットには、企業の取組例として次のようなものが挙げられています。すべての職場にあるわけではありませんが、「不妊治療のための休暇」という名前でなくても使える制度があるという点は知っておいて損がありません。

  • 両立を希望する労働者の相談窓口(人事労務担当者、産業医・産業保健スタッフ等による相談対応)
  • 不妊治療に利用できる休暇制度・休職制度(不妊治療に特定したもの、または多目的のもの)
  • 半日単位・時間単位の年次有給休暇制度
  • 失効した年次有給休暇の積立制度
  • 所定外労働を制限する制度
  • 時差出勤制度、短時間勤務制度、フレックスタイム制、テレワーク など

同資料は労働者に対して、まずは人事労務担当者等に相談し、就業規則で制度を確認することを勧めています。中小企業向けには、こうした制度を整えた事業主を対象とする国の助成金もありますが、名称や要件は年度ごとに見直されますので、最新の内容は厚生労働省や都道府県労働局の案内でご確認ください。

「不妊治療連絡カード」という選択肢

職場に伝えるときの負担を減らす仕組みとして、厚生労働省が作成しているのが不妊治療連絡カードです。同省の説明では、次のように位置づけられています。

  • 不妊治療を受ける労働者が、主治医等から診療に基づく配慮事項を、企業の人事労務担当者に的確に伝達するためのカード
  • 任意の様式だが、主治医等が記載する証明書となるもの
  • 労働者と企業の円滑なコミュニケーションを図るツールとして活用が勧められている

口頭で説明しようとすると、どこまで話せばいいのか迷いますし、伝わり方も相手次第になります。医師が書いた書面があることで、治療の詳細まで話さなくても必要な配慮を求めやすくなるという利点があります。様式は厚生労働省のサイトから入手できます。

ただし、このカードは主治医等に記入してもらう書面です。同資料でも、労働者が主治医等を受診し、そのうえで記入してもらう流れが示されています。医療機関にかかっていない場合は発行できませんので、その場合は「通院や体調への配慮が必要」という形で人事労務担当者に相談することになります。

どこまで話すかは、ご自身で決めてよい

ここが最も迷われるところだと思います。結論から言えば、すべてを話さなければならない決まりはありません

一方で、制度を使うには何らかの説明や証明が必要になる場合があります。「通院のために配慮が必要」という事実だけを伝える、詳細は連絡カードに委ねる、といった選び方もできます。話す相手を人事労務担当者や産業医に限る、という考え方もあります。

精子提供という方法を選んでいる場合、そこまで職場に説明する必要は通常ありません。必要なのは「通院や体調への配慮」であって、方法の詳細ではないからです。無理に打ち明けて負担を増やすことのないよう、伝える範囲はご自身で線を引いてください。

精子提供の場合の通院負担

精子提供にもいくつかの方法があり、通院の負担は方法によって変わります。医療機関で人工授精を受ける場合は当然ながら通院が必要になりますが、ご自宅で行うシリンジ法を選ばれる場合、通院そのものは少なくなります。

ただし、通院が少ないことだけを理由に方法を決めるのは避けたほうがよいと考えています。年齢やお身体の状況によっては、先に医療機関で検査を受けたほうが結果的に近道になることもあります。方法ごとの違いは医療機関と民間バンクの違いと選び方で整理していますので、あわせてご覧ください。

また、どのくらいの期間がかかるのかは仕事の見通しを立てるうえで気になるところだと思います。目安は精子提供で妊娠するまで何回かかる?で解説しています。

働きながらおひとりで子どもを迎えることを考えている方は、仕事の見通しと生活設計をあわせて整理しておくと動きやすくなります。選択的シングルマザーという選択肢のページも参考になさってください。

疲れてしまったときは

両立の悩みは、仕事の問題であると同時に、気持ちの問題でもあります。周囲に言えないまま続けていると、消耗が積み重なっていきます。

いったん立ち止まることも、選択肢のひとつです。妊活が長引いて疲れ切ったときの「休む」という選択肢や、長引く妊活で心が折れそうなときにもご参照ください。

まとめ

不妊治療と仕事の両立が難しいのは、ご本人の努力が足りないからではありません。通院の予定が読みにくいという治療の性質と、職場の制度が追いついていないことの両方に理由があります。

まずは勤務先の就業規則を確認すること、必要なら不妊治療連絡カードを使うこと。この2つだけでも、状況が動くことがあります。

治療の進め方やお身体のことについては、かかりつけの医療機関や専門の相談窓口にご相談ください。当バンクは医療機関ではありませんが、精子提供の進め方についてのご相談は匿名でも承っています。お問い合わせからお気軽にご連絡ください。

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