妊活の準備を進めるなかで、後回しになりやすいのが風しんの抗体の確認です。検査や周期の話に比べると急ぎの用事に見えにくく、気づいたときには「もう妊娠しているかもしれない時期」に入っていることもあります。この記事では、妊娠を希望する時期に風しんがよく話題になる理由と、確認の順番を整理します。ロジカル精子バンクは医療機関ではありませんので、抗体検査や予防接種を受けるかどうかの判断は、医師にご相談ください。
なぜ妊活の前に風しんの話が出てくるのか
厚生労働省は、風しんに関するQ&Aのなかで次のように説明しています。
「妊娠初期(20週以前)に風しんにかかると、胎児に感染し、赤ちゃんが難聴・白内障・先天性心疾患を特徴とする先天性風しん症候群を持って生まれてくる可能性が高くなります。」(厚生労働省「風しんに関するQ&A」)
つまり、風しんは妊娠する前の時期に備えておくものとして扱われている感染症です。妊娠してから対策を考えるのでは間に合わない、という性質があります。精子提供による妊活も、この点はほかの妊活と変わりません。
妊娠中は予防接種を受けられない
ここが、順番の話になる理由です。同じQ&Aには、次のようにあります。
「妊娠している女性は接種を受けることができません。」
「接種後2カ月程度の避妊が必要です。これは、お腹の中の赤ちゃんへの影響を出来るだけ避けるためです。」(いずれも厚生労働省「風しんに関するQ&A」)
接種を受けた場合、その後しばらくは妊娠を避ける期間が必要になるとされています。妊活のスケジュールと直接ぶつかる話ですので、後述するように、始める前の段階で確認しておくほうが選択肢が広くなります。
まず抗体検査で「今どうなっているか」を確認する
予防接種を受けるかどうかの前に、そもそも免疫があるかを確認する段階があります。過去に接種を受けているかどうか、母子健康手帳に記録が残っているかどうかで状況は変わりますし、記録が手元にないという方も少なくありません。
抗体検査の費用については、住んでいる地域によって扱いが異なります。厚生労働省は「自治体ごとに風しん対策の補助の有無や補助の額等のあり方が異なるため、抗体検査を希望される方は、事業で検査可能な医療機関を含めて、まずは居住地域の保健所にご相談ください。」と案内しています。お住まいの自治体の制度をまず確認する、というのが実務的な順番です。
なお、抗体の数値をどう読むか、接種が必要かどうかの判断は医師が行うものです。この記事では具体的な基準値には触れません。検査を受けた医療機関で説明を受けてください。
同居のご家族・パートナーの側も確認の対象になる
見落とされやすいのがこちらです。厚生労働省のQ&Aは、同居する家族についても次のように案内しています。
「風しんの抗体価が低い妊婦の同居家族については、風しんにかかったことがなく、2回の予防接種歴がない場合は、風しんの免疫の有無を確認するための抗体検査を受けてください。」(厚生労働省「風しんに関するQ&A」)
ご本人だけが備えても、身近な人から感染する経路は残ります。ご夫婦・カップルで妊活をされている場合は、お二人で確認しておくという考え方になります。すでにお子さんがいるご家庭では、その子の接種状況もあわせて見ておくと整理しやすくなります。
精子提供のスケジュールとの折り合い
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。
抗体が十分でないと分かって接種を受ける場合、その後しばらくは妊娠を避ける期間が生じます。一方で、妊活を始めようと決めた方の多くは「今周期から始めたい」という気持ちを持っておられます。この二つは、どうしてもぶつかります。
どちらを優先するかは、年齢やこれまでの経過、ほかの検査の結果によっても変わってきますので、一律の正解はありません。当バンクが判断できる領域でもありません。接種を受けるかどうか、受けるとしていつにするかは、必ず医師にご相談ください。
お伝えできるのは、順番の話だけです。始めると決めてから慌てて確認するより、検討している段階で一度確認しておくほうが、選べる幅は広くなります。ほかに受けておきたい検査とあわせて動くと、まとめて片づけやすくなります。妊活を始める前の準備は精子提供を受ける前に必要な検査と準備まとめにも整理しています。
ドナー側の感染症検査とは別の話です
混同されやすいので、はっきり分けて書いておきます。
精子提供の文脈で「感染症検査」という言葉が出てくるときは、多くの場合提供する側(ドナー)に対して行う検査を指します。これは提供を受ける方の安全に関わるもので、当バンクの安全性・検査体制のページにまとめています。考え方は精子提供における感染症検査の重要性でも解説しています。
一方、この記事で扱っている風しんの抗体は、提供を受ける側ご自身の体の備えの話です。ドナーの検査が十分に行われていることと、ご自身に風しんの免疫があるかどうかは、別々に確認するものだとお考えください。
妊娠が分かったあとに気になったときは
すでに妊娠されている場合、風しんの予防接種は受けられないとされています。だからといって、何もできないわけではありません。人の多い場所での過ごし方や、同居のご家族の抗体確認など、周囲からの感染を避ける方向での備えは残っています。
不安を感じたときは、自己判断で情報を集めきろうとせず、かかりつけの産科で相談してください。妊娠が分かったあとの進み方は精子提供で妊娠したあとの流れ|産科の受診から出生届までの進め方にまとめています。
ご相談を承っています
くり返しになりますが、ロジカル精子バンクは医療機関ではありません。抗体検査や予防接種の必要性、受ける時期の判断は、医療機関にご相談ください。この記事は、厚生労働省が公開している情報をもとに、確認の順番を整理したものです。
そのうえで、精子提供という選択肢について知りたい、進め方を整理したいという段階でのご相談をお受けしています。ご利用の流れもあわせてご覧ください。気になることがあればお問い合わせからお声がけください。
