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子宮内膜症とは|不妊との関係・チョコレート嚢胞と、妊娠を望むときの治療

子宮内膜症とは|不妊との関係と妊娠を望むときの治療

「生理痛が年々重くなっている」「検査で子宮内膜症と言われたけれど、妊娠への影響が気になる」——精子提供での妊活を考えている方の中にも、こうした不安を抱えている方がいるかもしれません。この記事では、日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会などの情報をもとに、子宮内膜症とはどんな病気か、不妊とどう関係するのか、妊娠を望むときにどんな治療の考え方があるのかを整理します。

子宮内膜症とは

子宮内膜症とは、本来は子宮の内側にある子宮内膜(またはそれに似た組織)が、子宮の内側以外の場所で発育・増殖する病気です。日本産科婦人科学会は、次のように説明しています。

「子宮内膜症は、ふだんは月経で剥がれ落ちるはずの子宮の内膜組織が、何らかの原因で、子宮の内側以外の場所(異所性)に入り込み、発育してしまう病気です。」

できる場所は、卵巣、ダグラス窩(子宮と直腸の間のくぼみ)、子宮とその周りの靭帯、卵管など、骨盤の中のさまざまな場所です。同学会によると、20~30代の女性で発症することが多く、ピークは30~40歳ともいわれています。

チョコレート嚢胞とは

子宮内膜症のうち、とくに知られているのが、卵巣の中に病変ができる「卵巣子宮内膜症性嚢胞」で、一般に「チョコレート嚢胞」と呼ばれます。同学会の解説では、卵巣のチョコレート嚢胞は「数年~数十年後にがん化(悪性化)することもあります」とされています。同学会は、子宮内膜症はどの治療法を選んでも将来再発するリスクが高い病気で、長期間にわたり経過を観察する必要があるとしています。日本産婦人科医会のQ&Aでも、治療の目的の一つとして卵巣チョコレート嚢胞の「破裂、感染、癌化の予防」が挙げられています。経過観察の方法や受診の間隔は主治医の指示に従い、通院が途切れている場合は婦人科で相談してください。急に強いおなかの痛みが出たときは、次の予約を待たずに医療機関へ連絡してください。

どんな症状がある?

主な症状は「痛み」と「不妊」です。日本産科婦人科学会の解説では、月経痛(月経困難症)は子宮内膜症の患者さんの9割にみられるとされ、そのほかに次のような症状が挙げられています。

  • 月経でないときも下腹部や腰が痛む(慢性骨盤痛)
  • 排便のときの痛み
  • 性交のときの痛み

同じ解説では、これらの症状は20~30歳代で発症し、年々悪化すると説明されています。一方で、日本子宮内膜症啓発会議の「子宮内膜症 Fact Note」(2013年)では、痛みを訴える症状が多いものの、「必ずしもそうした症状が出るとは限らない」とされています。痛みが軽いことだけで「自分は大丈夫」と判断せず、妊娠しにくさが気になるときも婦人科で相談してください。診断を受けていない方も、急に強いおなかの痛みが出たときは早めに医療機関へ連絡してください。

子宮内膜症と不妊の関係

子宮内膜症は、妊娠しにくさと関係があるとされています。日本産婦人科医会のQ&Aでは、次のように説明されています。

「子宮内膜症患者さんの約半数が不妊症を合併し、原因不明不妊症患者さんの約50 %に内膜症が存在すると言われています。」

妊娠しにくくなる理由としては、お腹の中で慢性的な炎症が起こり、卵管が周りの臓器と癒着してふさがる可能性があること、卵巣に病変ができると卵巣の機能が低下することがあることなどが知られています。ただし、子宮内膜症が妊娠を妨げる仕組みには、まだ十分に解明されていない部分もあります。

日本産科婦人科学会の「不妊症」の解説では、子宮内膜症がある場合などは妊娠しにくいことが分かっているとして、「不妊かもしれない」と考え、1年間も待たずに検査や治療を始めた方が良いといわれている、としています。卵管の状態を調べる検査については卵管造影検査とは?精子提供前に知っておきたい不妊検査の基本で解説しています。

どうやって診断する?

医療機関では、まず内診や腟からの超音波検査で調べ、必要に応じてMRI検査や腹腔鏡検査を追加することもあります。日本産婦人科医会のQ&Aでは、診断は腹腔鏡検査などによる肉眼での所見で行われるものの、全員に行われるわけではなく、日常の診療では自覚症状・診察・血液や画像の検査から総合的に診断する(臨床的子宮内膜症)と説明されています。

血液検査の「CA125」などの値は、それだけで子宮内膜症かどうかを判断できるものではないとされています。検査結果の見方は、主治医に確認してください。

妊娠を望むときの治療の考え方

治療は、痛みをやわらげることを優先するか、妊娠を目指すかによって考え方が変わります。

痛みの治療(ホルモン療法)と妊活

痛みに対しては、鎮痛剤のほか、効果が乏しい場合には低用量ピルや黄体ホルモン剤などが使われます。日本産婦人科医会の資料では、低用量ピルや黄体ホルモン剤など、子宮内膜症の治療に使われるホルモン剤には排卵を抑える作用があり、使っている期間は妊娠しないとされています。妊活を始めたいときは、自己判断で服薬をやめたり続けたりせず、いつどのように切り替えるかを主治医と相談してください。

手術と卵巣への影響

日本産科婦人科学会は、卵巣のチョコレート嚢胞が大きく、痛みも伴う場合は手術を考慮するとしています(日本産婦人科医会のQ&Aでは、近年は大部分が腹腔鏡手術で行われているとされています)。同学会は、将来の妊娠・出産を望む方には、嚢胞の部分だけを切除して卵巣の正常な部分をできるだけ残す手術を選ぶとしたうえで、次のように注意を促しています。

「どんなに工夫しても、手術後に卵巣の機能が弱まる(卵巣予備能の低下)可能性はあるので、注意が必要です。」

卵巣予備能の目安として使われる検査についてはAMH検査とは?妊活を始める前に知っておきたい「卵巣予備能」の基礎知識で解説しています。手術を受けるかどうかや時期は、主治医とご相談ください。

体外受精・顕微授精へ進むことも多い

同学会の「子宮内膜症」の解説では、不妊治療をしている間も子宮内膜症は進行するため、早めに体外受精や顕微授精へ進むことが多いとされています。同学会の「不妊症」の解説でも、女性が高齢の場合は、速やかに体外受精や顕微授精へ進むことが多いと説明されています。手術を先にするか、不妊治療を先にするかは、年齢、症状、嚢胞の大きさ、卵巣の働きなどを踏まえて医師が判断します。人工授精・体外受精などの方法の違いは人工授精(AID)・体外受精(IVF)・シリンジ法の使い分けで整理しています(リンク先は一般的な進め方の解説です。子宮内膜症と診断されている場合は、どの方法から始めるかを先に主治医と相談してください)。提供精子を用いる場合に体外受精・顕微授精を受けられるかどうかは、医療機関に直接ご確認ください。

精子提供を考えている方へ

精子提供で妊娠を目指す場合も、受ける側の体の状態は妊娠のしやすさに関わります。子宮内膜症と診断されている方や、月経痛が強い方は、精子提供の方法やスケジュールを決める前に婦人科で相談し、治療中であれば主治医にも妊活の予定を伝えておくと、無理のない進め方を考えやすくなります。

なお、医療機関での提供精子を用いた人工授精(AID。以前は非配偶者間人工授精と呼ばれていました)について、日本産科婦人科学会の見解の解説では「女性側に明らかな不妊症の原因がないか,あるいは治療可能であることが前提条件となる」とされています(令和8年6月改定)。これは医療機関でAIDを受ける場合の取り決めで、婚姻の有無などほかの条件もあります。対象になるかどうかは、保険の扱いや費用も含めて実施する医療機関でご確認ください。民間の精子提供を考える場合も、子宮内膜症の検査や治療を先に進めるかどうかは主治医にご相談ください。AIDの対象や受けられる場所、対象にならなかったときの選択肢についてはAID(提供精子を用いた人工授精)を考えている方へをご覧ください。提供精子を用いる治療の保険の扱いは精子提供は保険適用される?不妊治療の保険制度と精子提供の費用を解説で整理しています。同じく排卵や妊娠しやすさに関わる婦人科の病気としては多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と妊活でも解説しています。

よくある質問

生理痛が強いと、子宮内膜症なのでしょうか。

月経痛の原因は子宮内膜症だけではありません。ただ、日本生殖医学会の一般向けQ&Aでは、「月経の量が多い」「月経痛が強い」という症状がある方は、子宮や卵巣に病気を抱えているかもしれないとして、早めに産婦人科などで相談することをすすめています。鎮痛剤が効きにくい、年々痛みが強くなっているといった場合は、婦人科で相談してください。

子宮内膜症と言われたら、妊娠はできないのでしょうか。

子宮内膜症があっても妊娠・出産する方はいます。ただ、妊娠しにくさと関係があるとされているため、妊娠を望む場合は早めに医療機関で相談し、年齢や状態に合った進め方を主治医と決めていくことが大切です。

手術を受けたら、もう治療はいらないのでしょうか。

日本産科婦人科学会は、子宮内膜症はどの治療法を選んでも将来再発するリスクが高い病気で、長期間にわたり経過を観察する必要があるとしています。手術後の通院や治療の続け方は、主治医の指示に従ってください。

ご相談について

ロジカル精子バンクは医療機関ではありません。子宮内膜症の診断や治療、妊活の始め方の判断は、婦人科などの医療機関でご相談ください。この記事は、日本産科婦人科学会・日本生殖医学会の一般向け情報と、日本産婦人科医会の資料をもとに整理したものです(参考:日本産科婦人科学会「子宮内膜症」「不妊症」、日本産婦人科医会「子宮内膜症について教えてください」、日本産婦人科医会 研修ノートNo.102(医療関係者向け)、日本生殖医学会「生殖医療Q&A」、日本子宮内膜症啓発会議「子宮内膜症 Fact Note」/2026年10月時点)。

そのうえで、精子提供という選択肢について知りたい、進め方を整理したいという段階でのご相談をお受けしています。当バンクでは、LINEでの匿名のご相談にも対応しています。ご入会後の進め方はご利用の流れにまとめています。気になることがあればお問い合わせからお気軽にお声がけください。

※ 当バンクは医療機関ではありません。診断・治療・妊娠を保証するものではなく、医学的なご判断は医療機関にご相談ください。

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