妊活を始めると、まず勧められることが多いのが基礎体温の記録です。精子提供でシリンジ法を選ぶ場合は、ご自身でタイミングを考える場面が出てくるため、なおさら気になる方が多いようです。
ただ、基礎体温は「これさえつければ排卵日が分かる」というものではありません。この記事では、基礎体温でわかることと、あわせて知っておきたいわからないことを整理します。医学的な判断は医療機関の領分ですので、気になる点は必ず医師にご相談ください。
基礎体温とは何か
基礎体温とは、生命維持に必要最小限のエネルギーしか使っていない、安静時の体温のことです。厚生労働省の事業として運営されている「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」では、排卵の有無を判定する指標のひとつとして紹介されています。
日中に測る体温とは別物で、低温期と高温期の差もわずか0.3〜0.5℃ほどという、小数点以下の細かな変化を読み取るものです。ふつうの体温計では捉えきれないため、専用の婦人体温計を使います。
測り方の基本
同ページで案内されている測り方は、次のとおりです。
- 専用の婦人体温計を使う
- 朝、目が覚めたら起き上がらず、横になったまま測る
- 体温計は舌の裏側のつけ根に当て、口を閉じて測る
- 短時間で結果が出る予測式より、実測式のほうがより正確とされる
枕元に体温計を置いておく、記録はアプリでも紙でも続けやすいほうにする、といった工夫をされている方が多いようです。1日測り忘れても、そこで止めてしまわずに続けることのほうが大切です。
グラフから読み取れること
月経周期が28日の場合を例にすると、基礎体温はおおよそ次のように動くとされています。
- 低温期……月経開始から排卵前まで、およそ12〜16日
- 高温期……排卵後から月経前まで、およそ12〜14日。低温期より0.3〜0.5℃高くなる
低温期から高温期へ移り変わるところで、排卵があったと判断されます。月経開始日から数えて13〜14日目に排卵が起こることが多いとされていますが、個人差があります。また、高温期が16日以上続く場合は妊娠の可能性が考えられるとされています。
このように「低温期と高温期の二相に分かれている」ことが読み取れるのが、基礎体温の大きな役割です。排卵の有無をふり返って確認でき、ご自身の周期の傾向をつかむ手がかりになります。
ここが大事──基礎体温で「わからないこと」
一方で、基礎体温には得意でないこともあります。ここを知らずに使うと、かえって振り回されてしまいます。
排卵日を事前に言い当てることはできない
基礎体温で排卵が分かるのは、体温が上がったあとです。つまり「そろそろ排卵しそうだ」という予測ではなく、「排卵があったようだ」という事後の確認に向いています。タイミングを事前に合わせたい場合は、この点が弱みになります。
排卵が近いことを事前に知る手がかりとしては、尿中のホルモンの変化をみる方法があります。詳しくはLHサージとは?排卵予測と精子提供のタイミングを左右する重要サインで解説していますので、あわせてご覧ください。
個人差が大きく、教科書どおりにならないことがある
先ほどの日数はあくまで目安です。周期の長さも、体温の上がり方も人によって違いますし、睡眠時間や測る時刻のばらつき、体調によってもグラフは揺れます。数日分のギザギザだけを見て一喜一憂せず、数周期分の流れとして眺めるほうが実態に近づきます。
グラフだけで妊娠のしやすさは判断できない
二相性に見えても、それだけで排卵や妊娠の可能性を保証するものではありません。逆に、はっきり二相に分かれないからといって、すぐに何か問題があると決まるわけでもありません。最終的な判断には、超音波検査や血液検査など医療機関での確認が必要になります。
気になるパターンと、受診の目安
ヘルスケアラボでは、次のようなパターンについて触れられています。いずれも自己判断の材料ではなく、医師に相談するときの手がかりとして捉えてください。
- 低温期が続き体温が上がらない、月経はあるが一相性……排卵がない可能性が考えられるとされる
- 高温期が短い、または途中で一時的に下がる……黄体機能不全が疑われることがあるとされる
- 低温期が極端に短く10日程度で排卵している……年齢とともに起こりやすくなるとされ、若い方に見られる場合は卵巣機能の低下が疑われることがあるとされる
また、3か月間月経がない場合には医師の診察を受けることが勧められています。基礎体温をつけている方は、その記録を持って受診すると話が早く進みます。
精子提供でタイミングを考えるときに
精子提供では、ご自宅で行うシリンジ法を選ばれる方が多く、その場合はタイミングをご自身で考えることになります。基礎体温の記録は、ご自身の周期の傾向を知るうえで役に立ちます。
ただし、前述のとおり基礎体温だけで排卵日を先読みすることはできません。実際には、排卵検査薬などを併用したり、婦人科で超音波検査を受けて確認したりする方が多くみられます。精子提供の成功率を上げるには?もあわせてご覧ください。
また、思うように結果が出ないときは、タイミングの問題だけとは限りません。女性側の状態を調べる検査もありますので、精子提供を受ける前に必要な検査と準備まとめや、卵巣の状態の目安を知るAMH検査についての記事もご参照ください。
まとめ
基礎体温は、排卵があったかどうかをふり返り、ご自身の周期の傾向をつかむための記録です。「これだけで排卵日を当てる道具」ではない、と分かったうえで使うと、必要以上に振り回されずに済みます。
気になるパターンが続くときや、記録を続けても迷いが晴れないときは、その記録を持って医療機関にご相談ください。ロジカル精子バンクでは、進め方についてのご相談を匿名でも承っています。ご利用の流れもあわせてご覧ください。
なお、当バンクは医療機関ではありません。診断・治療は行っておりませんので、医学的なご判断は医療機関にご相談ください。
