「条件に合う方は、いらっしゃいますか?」
最初にいただいたご相談は、とても具体的なものでした。
38歳。未婚。現在、パートナーはいない。
でも、子どもを産みたい。
年齢のことを考えると、「いつか」ではなく「今、動かなければ」。そう考えるようになったそうです。
精子提供について調べ始めたのは、その頃でした。
SNS。個人の精子ドナー。精子バンク。そして、精子提供マッチング。
精子提供マッチングでは、希望する条件に近い精子ドナーを探し、プロフィールや確認できる情報を見比べながら候補を検討していきます。
しかし、女性には一つ大きな疑問がありました。
「私は、何を基準に精子ドナーを選べばいいんだろう」
年齢なのか。血液型なのか。身長なのか。学歴なのか。職業なのか。健康状態なのか。
最初に希望された条件は8つありました。
ところが、実際に精子提供マッチングを考えていくと、最後に女性が選んだのは、最初に書き出した希望条件に最も近い男性ではありませんでした。
※本記事は、精子提供・精子ドナーのマッチングについて寄せられるご相談や一般的な相談傾向を参考に、個人が特定されないよう再構成した事例です。特定のご相談者の経過をそのまま掲載したものではありません。記事中のA・B・Cというドナー像も、説明のために構成したものです。
今回のご相談
- ご相談者:38歳女性
- 家族構成:未婚・パートナーなし
- 精子提供を考えた理由:結婚の予定はないものの、子どもを持ちたいという希望があった
- ご相談内容:希望条件に近い精子ドナーを探したい
- 希望する提供方法:シリンジ法を検討
- ドナーへの主な希望:年齢・血液型・身長・体格・学歴・職業・健康状態など
- ご相談時の状況:SNSで個人の精子ドナーを探したものの不安を感じ、精子提供マッチングについて調べ始めた段階
38歳。「結婚してから」では間に合わないかもしれない
女性は、もともと結婚願望が強い方ではありませんでした。
仕事も好きでした。一人で生活することにも、大きな不満はありませんでした。
でも、30代後半になってから一つだけ、気持ちが変わりました。
子どもが欲しい。
結婚したいという気持ちとは、少し違いました。「母親になりたい」という気持ちでした。
最初は、「そのうちいい人がいたら」と思っていました。
でも38歳になった頃。ふと考えたそうです。
いい人と出会う。付き合う。結婚する。二人で生活する。それから妊活を始める。
「これ、何歳になるんだろう」
そこで初めて、結婚と出産を切り離して考えるようになりました。
※一人で子どもを迎えることを考え始めた段階で整理しておきたい点は、シングル女性が精子提供を選ぶ前に確認したい3つのことにまとめています。
「精子提供 マッチング」という言葉にたどり着くまで
最初に検索したのは、「未婚 子供 欲しい」でした。
そこから、「選択的シングルマザー」「精子提供」「精子ドナー」「精子バンク」と検索するようになりました。
そして辿り着いたのが、「精子提供 マッチング」という言葉でした。
精子提供を希望する女性と、精子を提供する意思のある男性。その双方がプロフィールや確認できる情報をもとに、自分の希望に近い相手を検討していく方法があることを知りました。
しかし、ここから別の問題が始まりました。
「精子ドナーって、どうやって選ぶの?」
女性が最初に感じた疑問です。
通販の商品を選ぶわけではありません。条件だけを比較して、「この人」と簡単に決められるものでもありません。
その男性から提供された精子によって、自分の子どもが生まれる可能性があります。
女性はノートを一冊用意しました。そして、自分が希望する精子ドナーの条件を書き始めました。
ノートに書き出した「8つの条件」
最初に書いた条件は、次の8つでした。
- 年齢は30代
- 身長170cm以上
- 中肉中背
- 希望する血液型
- 大学卒業以上
- 安定した職業
- 健康状態に大きな問題がないこと
- 非喫煙者
書き終わったとき、「これなら探せる」と思ったそうです。
ところが、その下にもう一つ書きました。
「できれば、顔も見たい」
そして、さらに、「性格も知りたい」と書きました。
そこで女性は気づきました。
「条件だけじゃ決められないな」と。
SNSで精子ドナーを探してみて、送信ボタンを押せなかった
最初はSNSも見ました。
「精子提供します」「ドナー活動しています」という男性の投稿がありました。
年齢。身長。学歴。職業。血液型。さまざまなプロフィールが書かれていました。
条件だけを見ると、「この人いいかも」と思う男性もいました。
DMを送ろうか迷いました。でも、送信ボタンを押すことができませんでした。
「このプロフィール、本当なの?」
女性が一番怖くなったのは、そこでした。
35歳。大卒。会社員。健康。非喫煙。そう書かれている。
でも、誰が確認したのだろう。
プロフィールを書いているのは本人です。記載された内容を、自分一人では確認できないものもあります。
精子提供は、提供を受けて終わりではありません。もし妊娠し、子どもが生まれれば、その先には何十年という人生があります。
女性は、「条件が良さそう」という理由だけで相手を決めるのは怖いと感じました。
※個人間でやりとりする場合に起こりうる問題は、SNSでの精子提供が危険な5つの理由とSNSでの精子提供トラブル事例と「安全チェックリスト」で整理しています。
ご相談で、希望条件を一つずつ整理した
そこで女性からご相談がありました。
最初に聞かれたのは、「条件を伝えたら、それに近いドナーを探してもらえるんですか?」という質問でした。
そこで、希望条件を一つずつ整理していきました。
年齢。血液型。身長。体格。学歴。職業。活動地域。健康面。喫煙の有無。
そして、「他にも希望はありますか?」と確認すると、少し考えてから言われました。
「性格って、分かりますか?」
本当に知りたかったのは「スペック」だけではなかった
話を聞いていくと、女性が本当に気にしていたことが少しずつ見えてきました。
身長170cm以上。大学卒業以上。安定した職業。もちろん、それも希望でした。
でも、それ以上に気にしていたのは、「どういう気持ちで精子提供をしている人なのか」ということでした。
なぜドナーになったのか。精子提供をどう考えているのか。生まれてくる子どもについて、どう考えているのか。
女性は言いました。
「条件が良くても、何となく怖い人からは受けたくないです」
※ロジカル精子バンクがプロフィールの数値だけで見ない理由については、ドナーの人柄まで見るマッチングの理由で考え方をお伝えしています。
3人のドナー候補を比べて分かったこと
希望条件を整理し、条件に近いドナー候補について検討することになりました。
ここでは、Aさん、Bさん、Cさんとします。
3人とも、女性が希望していた条件にある程度近い男性でした。しかし、すべての条件が同じではありません。
※候補となるドナーのご案内は、ご入会後の工程です。進め方はご利用の流れをご覧ください。
Aさん|条件だけなら一番近かった
30代前半。身長180cm前後。大卒。安定した職業。希望する血液型。
女性が最初にノートへ書いた条件に、かなり近い男性でした。
プロフィールを見た瞬間、「この人かな」と思ったそうです。
希望条件との一致度で見れば、Aさんが最も近い方でした。
Bさん|身長の条件をどう考えるか迷った
30代。大卒。会社員。女性が確認したいと考えていた項目についても、一つずつ検討していきました。
ただ、身長が女性の希望より少し低い。
最初に決めた条件だけで考えれば、候補から外してもおかしくありませんでした。
女性自身も最初は、「身長がな……」と言っていました。
Cさん|年齢の条件を見直すきっかけになった
Cさんも、希望条件の多くに近い男性でした。
ただ、女性が最初に設定していた年齢条件から少し外れていました。
「できれば30代」という希望があったため、条件だけで絞れば候補から外れやすくなります。
「写真は見られますか?」と聞いた理由
次に女性が気にしたのが、容姿でした。
これは単純に、「イケメンがいい」という話ではありませんでした。
女性が言ったのは、「将来、子どもの顔を見るたびに、この人のことを想像するのかなと思って」という言葉でした。
精子提供を受ければ、子どもには遺伝的につながりのあるドナーが存在することになります。
その事実を、自分自身がどう受け止めるのか。女性はそこまで考えていました。
※ドナーとの関わり方の考え方は精子提供は匿名と非匿名どちらがいい?、お子さん側の論点は「出自を知る権利」とは?もあわせてご覧ください。
条件のほかに、確認したいことが増えていった
ドナーを検討していくうちに、女性が確認したいことは増えていきました。
最初は、年齢。血液型。身長。学歴。職業。といったプロフィールが中心でした。
しかし、最終的には次のようなことについても、「自分が納得できるところまで確認したい」と考えるようになりました。
- 本人確認について
- 年齢、血液型
- 身長、体格
- 学歴、職業
- 健康状態
- 感染症検査について
- 精液検査について
- 喫煙・飲酒の習慣
- 提供を行う理由
- 提供回数についての考え方
- 提供後の関係について
- 将来の連絡についての考え方
- 生まれてくる子どもについてどう考えているか
女性は、「条件が増えたというより、本当に確認したいことが分かった感じです」と言いました。
※本人確認と感染症検査がなぜ重視されるのかは、精子提供で身元確認はなぜ必要?と「感染症検査」はなぜ重要?知っておくべきリスクと「空白期間」で解説しています。
最後まで残った精子ドナーは2人
検討を進め、最終的に2名の候補で迷いました。
Aさん。そしてBさん。
条件だけならAさんでした。女性自身も、「Aさんの方が条件はいいんですよね」と何度も言いました。
でも、なかなか決められませんでした。
「この人の方が、なんとなく安心するんです」
最終的に女性が選んだのは、Bさんでした。最初に希望していた身長条件から、少し外れていた男性です。
なぜBさんなのか。女性自身もうまく説明できませんでした。
しばらく考えて、こう言いました。
「この人の方が、なんとなく安心するんです」
条件だけならAさん。
でも、自分が提供を受ける場面を想像したとき。妊娠したとき。子どもが生まれたとき。そして将来、精子提供について子どもと向き合うことになったとき。
女性は、Bさんから提供を受ける未来の方を、自然に想像できたそうです。
精子提供マッチングは「条件が一番良い人を選ぶこと」ではなかった
女性は最初、精子提供マッチングとは、希望条件を伝えて、その条件に最も近い男性を探すことだと思っていました。
でも実際に考えていくと違いました。
条件は重要です。年齢も。血液型も。身長も。健康状態も。学歴や職業を希望される方もいます。
しかし、その精子から自分の子どもが生まれる可能性があります。
だから最後は、「この人から提供を受けることを、自分自身が納得できるか」という問題になります。
女性は言いました。
「子どもが生まれたあとに、もっと確認しておけばよかったって思いたくないんです」
ドナーを選んだあと、すぐに精子提供には進まなかった
Bさんを候補として選んだからといって、翌日すぐに精子提供へ進んだわけではありませんでした。
女性が次に気になったのは、より現実的な部分でした。
「感染症検査について、何を確認すればいい?」「精液検査は?」「実際に会う前に何を確認できる?」「提供方法は?」「費用は?」「同意書は?」「提供後の連絡は?」
女性は言いました。
「選ぶところまでは想像していたんですけど、その先を全然考えていませんでした」
精子提供マッチングは、ドナー候補を選んだところで終了するものではありません。むしろ、そこから具体的な確認が始まります。
マッチングのあとに確認しておきたいこと
実際に提供へ進む前には、提供方法。感染症検査など必要な確認。精液検査について。提供のタイミング。費用。連絡方法。同意書・契約について。提供後の関係。など、事前に整理しておきたい事項があります。
また、妊娠することだけを見るのではなく、生まれてくる子どもの将来についてどう考えるかも重要です。
どの項目をどのように確認できるかは、利用するサービスやドナーによって異なります。
「マッチングサービスを使えばすべて保証される」と考えるのではなく、何が確認され、何が確認されていないのかを自分でも把握することが大切です。
※契約書を交わす意味についてはなぜ「契約書」を必須にしているのか、提供方法の違いはシリンジ法とは?で説明しています。
精子提供マッチングで最初に整理したい「3種類の条件」
ドナーを探すとき、最初から20個、30個と条件を並べると、かえって何を優先したいのか分からなくなることがあります。
そこで、希望を3種類に分けて考えます。
① 絶対に譲れない条件
例えば、年齢。血液型。活動地域。
その他、「ここだけは外せない」という条件です。
② できれば希望したい条件
例えば、身長。体格。学歴。職業。容姿。性格など。
希望はあるけれど、他の条件によっては検討できるものです。
③ 条件とは別に確認しておきたい項目
本人確認。健康状態。感染症検査。精液検査。提供回数。提供に対する考え方。提供後の関係。子どもの出自に関する考え方。などです。
この3つに分けると、「自分は精子ドナーに何を求めているのか」が整理しやすくなります。
※どのような情報を確認できるのかという視点でのバンクの見比べ方は、精子提供マッチングの選び方|SNS個人間・民間バンク・医療機関の違いと精子提供のドナーはどう選ぶ?でも整理しています。
精子提供マッチングについて、よくあるご相談
希望条件を指定して精子ドナーを探せますか?
年齢層、血液型、身長、体格のほか、職業や学歴などの条件についてもご相談いただけます。
※ご指定いただける条件は、ご利用のプランによって異なります。詳しくは料金プランをご覧ください。
また、すべての希望条件を満たすドナーが常時いるとは限りません。
そのため、「絶対に譲れない条件」と「できれば希望する条件」を分けて考えることが重要です。
精子ドナーの写真を見ることはできますか?
確認できる情報は、ドナーや利用条件などによって異なります。
写真についてはお問い合わせください。
どの段階で、どのような情報を確認できるのかについては、マッチングを進める際にご確認ください。
精子ドナーの感染症検査は確認した方がいいですか?
感染症に関する確認は、精子提供を検討するうえで重要な項目の一つです。
「検査済み」という言葉だけでなく、どのような検査なのか。いつ行われたものなのか。どのように結果を確認できるのか。
実際に提供へ進む際には、具体的に確認することが重要です。
精液検査と感染症検査は同じですか?
同じではありません。
感染症の有無を調べる検査と、精子の状態などを確認する精液検査は別のものです。
必要と考える検査については、提供前に確認してください。
SNSで直接精子ドナーを探すのと何が違いますか?
SNSなどを通じた個人間の精子提供では、相手が提示しているプロフィールや検査に関する情報について、自分自身で確認する必要がある場合があります。
マッチングサービスについても、利用すれば自動的に安全が保証されるというものではありません。
どのような本人確認を行っているのか。どのような情報を確認できるのか。契約や提供後の対応はどうなっているのか。サービスごとの仕組みを確認したうえで比較することが重要です。
まだ希望条件が決まっていなくても相談できますか?
はい。「子どもは欲しいけれど、どんなドナーを選べばいいか分からない」という段階からでも構いません。
最初から完璧な条件表を作る必要はありません。
自分にとって、何が絶対条件なのか。何なら変更できるのか。何を確認しておきたいのか。一つずつ整理していくことができます。
「精子提供マッチング」を探している方へ
精子提供を考え始めると、「どんなドナーがいるのか」「自分の希望条件に合う人はいるのか」「何を確認すればいいのか」「どうやって一人を選べばいいのか」と、分からないことが次々に出てきます。
最初から、ドナーを一人に決める必要はありません。
年齢。血液型。身長。学歴。職業。健康状態。希望があれば整理してお伝えください。
まだ条件が決まっていなくても構いません。「私の場合、どんなドナーが候補になりますか?」という段階からでもご相談いただけます。
登録ドナーのプロフィールはドナーを探すでご覧いただけます。ご相談から提供までの進め方はご利用の流れに、費用は料金プランにまとめています。
なお、ロジカル精子バンクは医療機関ではありません。妊娠の判定・診断や治療については、医療機関にご相談ください。
気になることがあれば、お問い合わせからお気軽にお声がけください。
